はっぴぃマジックシュガー二次創作した(ねたばれ)
森が燃えている。
まだ森の端を舐めている炎は、早晩この家をも飲み込むだろう。たった一人の命を奪うためにこの森のすべての命を焼いたグランゼドーラの国旗が自分たちを囲むのは、もっとずっと早いはずだ。
「ねえ、シュー」
窓の外に視線を向けたまま話しかけてきたエックスへ、その手のひらを握るだけの返事をする。
「みんな殺してあげるから、大丈夫だよ」
やっとこちらを振り向いてこぼす笑みだけは普段と変わりなくて。こうなってしまった君を心変わりさせる手段を、未だに俺は持たない。
「君だけは守ってあげる。怖がらないで」
穏やかに言葉を重ねる君へ、かける言葉はまだ浮かばない。遥か遠くと思っていた炎が巻き起こす風が窓を打った。
「君は」
口を開いた俺に、エックスが首を傾げた。
「俺が何も欲しがらないから、プレゼントひとつ選ぶにも困る、と常々愚痴っていたな」
「……ほんとだよ。すっごく時間をかけて選んだ陶器のカップ、いつも使ってそのままその辺に置いとくから、僕が洗って仕舞ってたんだよ?」
突然の話題の転換に少しも嫌がらず応じた上で、幸せそうにこちらを詰ってくる君を、心底愛おしく思う。この時間が永遠に続けばいいのに。
「すまない」
「今度からちゃんと洗ってね」
もう来ない「今度」の話でこんなに幸せを感じられることは知らなかった。
「もう遅いかもしれないが、今君に望むことを思いついた」
「いいよ、言って」
きっと君は俺の望みを知っている。そしてそれに対する君の返事を俺もまた、知っている。
それでも、伝えずにはいられない。
「俺は、君と死にたい」
……ごめんね、それだけは無理なんだ。
ちょっと眉を下げたエックスは、さてと、と何でもないことのように椅子から立ち上がり剣を手に取った。
まだ森の端を舐めている炎は、早晩この家をも飲み込むだろう。たった一人の命を奪うためにこの森のすべての命を焼いたグランゼドーラの国旗が自分たちを囲むのは、もっとずっと早いはずだ。
「ねえ、シュー」
窓の外に視線を向けたまま話しかけてきたエックスへ、その手のひらを握るだけの返事をする。
「みんな殺してあげるから、大丈夫だよ」
やっとこちらを振り向いてこぼす笑みだけは普段と変わりなくて。こうなってしまった君を心変わりさせる手段を、未だに俺は持たない。
「君だけは守ってあげる。怖がらないで」
穏やかに言葉を重ねる君へ、かける言葉はまだ浮かばない。遥か遠くと思っていた炎が巻き起こす風が窓を打った。
「君は」
口を開いた俺に、エックスが首を傾げた。
「俺が何も欲しがらないから、プレゼントひとつ選ぶにも困る、と常々愚痴っていたな」
「……ほんとだよ。すっごく時間をかけて選んだ陶器のカップ、いつも使ってそのままその辺に置いとくから、僕が洗って仕舞ってたんだよ?」
突然の話題の転換に少しも嫌がらず応じた上で、幸せそうにこちらを詰ってくる君を、心底愛おしく思う。この時間が永遠に続けばいいのに。
「すまない」
「今度からちゃんと洗ってね」
もう来ない「今度」の話でこんなに幸せを感じられることは知らなかった。
「もう遅いかもしれないが、今君に望むことを思いついた」
「いいよ、言って」
きっと君は俺の望みを知っている。そしてそれに対する君の返事を俺もまた、知っている。
それでも、伝えずにはいられない。
「俺は、君と死にたい」
……ごめんね、それだけは無理なんだ。
ちょっと眉を下げたエックスは、さてと、と何でもないことのように椅子から立ち上がり剣を手に取った。