私信
例えば。
今朝は土砂降りだった雨が上がって、グラウンドに大きな虹がかかったとか。
テストのヤマが当たったとか。
学校からの帰り道、猫が二匹団子になって日向ぼっこしてたとか。
僕が親子丼食べたいなって思ってたのどうして知ってるの?とか。
それが俺の手柄でもそうでなくても、エックスは今日のちょっと嬉しい事件をひとつひとつ丁寧に報告してから、最後に宝物をそっと差し出すように「今日もずっとシューに会いたかった」と締めくくるものだから、夕飯時だというのに毎日理性を総動員して湧き上がる欲望を押さえつける羽目になる。彼の卒業までは、と思ってはいるものの果たして俺の理性はそこまで持ってくれるだろうか。
「……俺もだ」
代わり映えのない返事に、欲望を噛み殺しているゆえの妙な間が毎回発生している件には微塵も不審を抱かず、エックスはふわりと相好を崩す。
思いを通じあわせてから飽きず繰り返されてきた他愛ない気持ちの確認を、当初は彼にこちらの思いを伝えきれていないからかとも心配したが、どうも純粋にこのやりとりが嬉しいだけらしい。その証拠に柔らかな頬には満足げな桜色が浮かんでいる。
非の打ち所のない恋人の微笑みに見とれていると、今日は「大好きだよ」と追撃が来て、啜っていた味噌汁が器官に入りしばらく咳が止まらなかった。素直で真っ直ぐなエックスの言葉はいつも自分をひどく狼狽えさせる。彼よりほんの数年長く生きている程度は何のアドバンテージにもならないのかもしれないと、最近では戦々恐々としている。
今朝は土砂降りだった雨が上がって、グラウンドに大きな虹がかかったとか。
テストのヤマが当たったとか。
学校からの帰り道、猫が二匹団子になって日向ぼっこしてたとか。
僕が親子丼食べたいなって思ってたのどうして知ってるの?とか。
それが俺の手柄でもそうでなくても、エックスは今日のちょっと嬉しい事件をひとつひとつ丁寧に報告してから、最後に宝物をそっと差し出すように「今日もずっとシューに会いたかった」と締めくくるものだから、夕飯時だというのに毎日理性を総動員して湧き上がる欲望を押さえつける羽目になる。彼の卒業までは、と思ってはいるものの果たして俺の理性はそこまで持ってくれるだろうか。
「……俺もだ」
代わり映えのない返事に、欲望を噛み殺しているゆえの妙な間が毎回発生している件には微塵も不審を抱かず、エックスはふわりと相好を崩す。
思いを通じあわせてから飽きず繰り返されてきた他愛ない気持ちの確認を、当初は彼にこちらの思いを伝えきれていないからかとも心配したが、どうも純粋にこのやりとりが嬉しいだけらしい。その証拠に柔らかな頬には満足げな桜色が浮かんでいる。
非の打ち所のない恋人の微笑みに見とれていると、今日は「大好きだよ」と追撃が来て、啜っていた味噌汁が器官に入りしばらく咳が止まらなかった。素直で真っ直ぐなエックスの言葉はいつも自分をひどく狼狽えさせる。彼よりほんの数年長く生きている程度は何のアドバンテージにもならないのかもしれないと、最近では戦々恐々としている。